
土曜日からリバイバル上映が始まったノルウェーのパペットアニメーション『ピンチクリフ・グランプリ』を観てきました。
この作品は今から30年以上前に作られた作品。ノルウェーのアニメーションってよく知らないのですが、本国で観客動員数1位の記録を今でも破られていない映画なのだそうです。(2位に倍以上の差をつけているとか)
ちょうどチェコ絡みでパペットアニメーションにも興味があったし、かなり良いという噂を聞いていたので公開されたら観に行こうと決めていたのでした。

前売り券を買った際にもらったミニカレンダー。

こちらは劇場で買ったパンフレット。
物語は、「北に60キロやや東にあるピンチクリフ村」を舞台に始まります。
《 どこを基点として北なのか言ってないところがいい :-) 》
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この村はずれに高くそびえる切り立った崖があって、その頂上に住んでいるのが主人公の自転車修理工レオナルド・フェルゲン、その助手のあひるのソランとハリネズミのルドビグ。
| レオナルド | ソラン | ルドビグ |
レオナルドは温和な自転車修理工ですが、発明家でもあります。彼の家の中や庭は発明品でいっぱい。
つつましやかに毎日の生活を送っている3人ですが、ある日テレビのニュースでカーレースの話題が。グランプリ・レースで目下3連勝中の男がインタビューを受けている映像。レオナルドはその男の顔に見覚えがありました。かつて自分の弟子として働いていて突然姿を消したルドルフだったのです。昔の弟子の活躍ぶりに感心するレオナルド。
ただその男が得意気に紹介している車のエンジン装置を見て、彼が姿を消した理由がわかります。それはレオナルドの発明品そのものでした。ルドルフはレオナルドの発明品を盗んでカーレースで勝ち続けていたのです。
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ルドルフ
でもそれを知って怒ったのはレオナルドではなく、助手のソラン。自分たちでもっとすごい車を作ってレースでルドルフに勝とうとレオナルドに提言します。レオナルドもそれは面白そうだと思いますが、車を作るにはお金が必要でした。自給自足でつつましく暮らしている彼らにはそんな貯えはありません。仕方ないさあきらめようと言うレオナルドでしたが、その背中は寂しそう。楽天家で行動力のあるソランは偶然に旅の途中のアラブの石油王を見つけスポンサーになってもらうよう画策します。
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アラブの石油王
ソランの目論見は見事成功。晴れてスポンサー契約を結んだレオナルドは助手の二人と共に自分の持っている技術の粋を尽くして最高のスーパーカー、イル・テンポ・ギガンテ号を製作。ピンチクリフ村の人々の盛大な応援を受けていざグランプリへ!
しかしレオナルドが出場することを知っていたルドルフはこっそりとある罠をしかけていたのです…
といった内容です。どうでしょう興味湧いてきたでしょうか?
でもこの作品の素晴らしさはストーリーそのものよりも、そのアニメーションのディテールの細かさにあります。
例えば家の中の小物や、作業場の工具、レオナルドの発明品など普通そこまでやらないだろというくらいに作りこまれているのです。

ミニチュアやジオラマ好きはもちろん、普通の人が見てもそのこだわりに驚くことでしょう。
そして村の人々がレース出場前の式典で演奏をするシーンがあるのですが、これが圧巻。ピアノやウッドベース、トロンボーンなど数々の楽器の人形の運指が実際の演奏と同じ指使いになっているのです!!
ちなみにパペットアニメーションというのは基本的に少しづつ人形を動かしたのを一枚づつコマ撮りして、それを編集時に繋いで動いているように見せます。この演奏シーンは1秒で24コマ撮りで再現しているそうですがこれは1秒撮るのに人形を24回動かすということ。一体の人形のアップのシーンはもちろん、全体の演奏シーンもあるのでそうなると1コマごとに各人形を正確に動かさないといけないということになります。考えただけで気の遠くなりそうな作業。
監督のイヴォ・カプリノもこのシーンが一番大変だったと言ってます。
そしてメインのカーレース・シーンがまたすごい。臨場感と迫力ある映像でパペットアニメーションであることを一瞬忘れてしまいそうになるほど。30年も前にこんなすごいアニメーションがあったなんてただただ驚きです。

僕はこの映画を字幕版で観たのですが、観る回によっては吹替版も上映されています。この吹替版、30年前に日本で上映された時の声優のアテレコをそのまま使っているのですが、(当時のフィルムは残っていなくて TV放映を録画したVHSテープを見つけてそこからノイズを除いてデジタル化したとのこと)その声優陣が、レオナルド役の八奈美乗児(『ヤッターマン』ボヤッキー)、ソラン役の野沢雅子(『ドラゴンボール』孫悟空)、ルドビグ役の滝口順平(『ヤッターマン』ドクロベー)、ルドルフ役の大塚周夫(『チキチキマシン猛レース』ブラック魔王)、ルドルフの助手のミーシル役の田の中勇(『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじ)という現在振り返ってみると豪華な声優陣になっています。
吹替版も評判がいいみたいなので今度観るときは吹替版で観てみようかな。
この映画は当時ノルウェーのみならず海外でも話題になったのですが、そのPRの為にイヴォ・カプリノ監督が作ったのが、イル・テンポ・ギガンテ号の実車。つまり本物を作ってしまったのです。しかも手作りで!
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なんでも製作にまる1年かかったのだとか。この人たちの情熱といったら計り知れません。
ちなみに実車のイル・テンポ・ギガンテ号のブレーキは自転車式ではないみたい(当たり前か)
このイル・テンポ・ギガンテ号、日本公開時にも上陸したらしいのですが、現在はリレハンメルのテーマパークに展示されているそうです。実車見てみたいなあ。ノルウェーに行くことがあったら絶対見よう(笑)
さてさて、こんな『ピンチクリフ・グランプリ』ですが、登場キャラクターの中で僕が一番好きなのはハリネズミのルドビグ。楽天的で行動力のあるソランとは対照的にルドビグは心配性でとても怖がり。そして花粉症。何故かいつもリュックを背負ってぺちゃんこの帽子をかぶっています。そして動きもどんくさくて転んでばかり。

でもなんだかとてもかわいいんですよ。監督曰く臆病者のルドビグはノルウェーの国民性にぴったりなのだそうです。そんなルドビグもこの物語では活躍を見せます。:-)
30年前の映画ですが、全然古臭い感じがしなかったしユーモアのある部分も自然と笑えました。
子供はもちろん大人も十分に楽しめる作品だと思います。
ここのところ映画レビューで五つ星連発大サービスしちゃってますが、もうこれは作り手に最大の敬意を表して五つ星しかないでしょう。DVDが出たらぜひ欲しいです!
■リンク
『ピンチクリフ・グランプリ』公式サイト
「ピンチクリフ・グランプリ」特番 Yahoo!動画
Movie Special:ピンチクリフ・グランプリ AOL Entertainment