2007年1月26日

Pen の「東欧のグラフィック」特集

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2/1号のPenの「東欧のグラフィック」特集は興味深い内容で面白かった。
東欧(チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロヴァキア)の4カ国のグラフィクデザインや各国の巨匠と言われるアーティストの作品紹介など。

東欧のデザインって北欧のような明るくて洗練されたものではなくて、ちょっとくすんだ感じというか過去に共産圏で抑圧されていた影のような部分が垣間見れて、それが独特なレトロチックなデザインを生み出しているところが、逆に魅力的。

雑誌の表紙に載っているのはチェコのヤン・ライリッヒの作品。
1920年生まれということだから、今年で87歳になるという巨匠である。
『人は自分の目を信じないだろう』という当時(1962年)の演劇のポスターだそうだ。

チェコ語はハーチェクと呼ばれるアルファベットの上に v や ' のマークがついた独特な文字があって、これが文字デザインにアクセントとなってファショナブルな感じがとてもいい。
自分が生まれる前に東欧ではこんな洒落たポスターがあったのだというのも驚き。

ライリッヒはハートをモチーフとした作品を昔から作り続けていて、彼のトレードマークのようになっている。

下は「ムーラン・ルージュ」で有名なフランスの画家、ロートレックの生誕100年を記念した展覧会のポスター。2004年作。

このようなコラージュ作品も。


紹介されている中で他に惹かれたのは、ポーランドのヘンリク・トマシェフスキとヤン・レニツァ。
ヘンリク・トマシェフスキは1914年生まれて2年前に他界しているが、「ポーランド派の父」とも呼ばれている大巨匠でライリッヒよりも有名。

イギリス映画 「黒水仙」のポスター 1948年。

ドイツの人形映画 「ハリウッドのカルメン」のポスター 1952年。

「ヘンリー・ムーア」の展覧会ポスター 1959年。

それぞれに作風が違っていて面白い。

一方、ヤン・レニツァは1928年生まれで2001年に他界。生命力溢れる力強い作風が特徴。

オペラ 「ヴォツェック」のポスター 1964年。

オペラ 「オテロ」のポスター 1968年。

こんな猛々しい作品で知られるヤン・レニツァも「ゆきだるまのテーオ」という可愛らしい絵本を制作していて興味深い。

「ポスター大国」と呼ばれるポーランドは昔から優秀なアーティストをたくさん輩出している。その中でも全盛期と言われた時代のアーティストは「ポーランド派」と呼ばれているとのこと。
「ポーランド派」のポスターについては東京外国語大学の平子歩美さんの「ポスターにおける《ポーランド派》 」という2002年の卒業論文(PDF)が詳しい。こんなに詳細にまとめられている文献は国内では他に無いかもしれない。ちょっと感動。
ポーランドポスターに興味のある方はどうぞ。


雑誌には紹介されていないアーティスト作品で、ネットで見つけて気に入ったものは

まずはこれ。ポーランドのタデウシュ・グロノスキの洗剤のポスター。なんと1926年作!

80年前にしてこのスタイリッシュなフォルムのデザイン。素晴しい。

そしてチェコのヤロスラフ・スーラの作品2点。

楽団「ムジカ・ボヘミカ」のポスター。制作年不明。

こちらは1966年の作品。

こう見ると動物キャラものに弱い自分を再自覚(^^;

Penの特集には数多くのポスターアートや、東欧の街角デザイン、カード・カレンダー、ビア・コースター、レコード・ジャケットなどが紹介されている。
これを見て興味を持った人は2月1日には次号が出てしまうのでお早めに書店へどうぞ!


P.S.
余談だが、この号の「ドキュメンタリー映画が、いま面白い。」という特集も良かった。
『不都合な真実』 『ダーウィンの悪夢』は見てみたいな。





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東欧のかわいいデザインたち (単行本)
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投稿者 うっちー : 2007年1月26日 23:49 | コメント (8) | トラックバック (1) このエントリーを含むはてなブックマーク


コメント

こんにちは。ご紹介ありがとうございます(取材をした者です)。プラハの街にはられているポスターは動物をモティーフにしたものが目立ちます。俳優を使うとお金がかかるとかそういうこともあるのかもしれませんし、子どもが喜ぶから、とみんないうのですが基本的に動物が好きなんだと思います。ちなみにライリッヒさんがコラージュをするようになったのは、目が悪くなってからのことだそうです。

Posted by: kralik : 2007年1月28日 18:58

>kralikさん

取材をされた方にコメントいただけるなんて思ってもいなかったのでびっくりです。ありがとうございます(^^
特集とても良かったです。
僕も昨年の夏にプラハに行きましたが、動物キャラクターはいろんな場所で見かけました。ビアホールにもあったし。きっと言われているようにチェコの人は動物好きなんですね。
ライリッヒのコラージュはこれはこれで味があっていいですね。息子さんの作品も親の血を受け継いでいるのが分かる作風で好きです。

Posted by: うっちー : 2007年1月29日 00:11

電車の中吊りを観て気になったので、本屋さんに行きました^^
私も東欧の物は北欧に比べて味のある感じがいいな〜って思いました★

Posted by: コニタン : 2007年1月29日 11:58

わー、この特集いいですね。
帰りに本屋によろうと思います。

>独特な文字があって

私は半年間ロシア語講座をみてしまったという経歴があるくらいロシアに興味があって、キリル文字ラブな人なのです(実は)。
なのでとても気持ちがわかります。
東欧もかなり気になっています。

うっちーさんに「ロシアのかわいいデザインたち」という本もぜひチェックしていただきたいです!

Posted by: さわわん : 2007年1月29日 15:12

>コニタン

あの中吊り広告も赤と黒と白でデザインされていて目を引くものだったね(^^
東欧のデザインは日本から遠く離れた地域なのに懐かしさと温かさが伝わってくるのは不思議です。

>さわわんさん

キリル文字もチェコ語のハーチェクと同様に特徴があっていいですね!
同じ共産圏だったこともあり文化も似ているところがあるのかもしれません。
「ロシアのかわいいデザインたち」本屋でちらっと見かけたことあります。今度見つけたらチェックしてみますね(^^

Posted by: うっちー : 2007年1月29日 18:59

東欧というのは西欧にくらべると暗いイメージがありますが、もっと掘り下げていくと日本人の知らない東欧世界がそこにはあるんですね!

Posted by: xiongwang : 2007年1月30日 00:38

プラハで生活をしていると30年前の、ぼくにとっては子どものころのに東京にタイムスリップしたような思いに駆られることがあります。人びとは一生懸命ですし、そうしたことも含めて懐かしさと温かさを感じたりもします。その一方で、高度成長のせいで、そうしたものが急速に失われているようにも思います。

Posted by: kralik : 2007年1月30日 03:38

>xiongwangさん

東欧は近年になって日本でもいろいろと紹介されるようになってきて、その魅力に気づく人が増えてきたように思います。中世の面影が色濃く残っている街並みがたくさんあって、そこで生活する人々の暮らしぶりといい、何か癒されるような雰囲気があります。東欧に限らずですが、海外に行くと自分の知らない世界がたくさんあるんだなと実感しますね。


>kralikさん

kralikさんはプラハ在住の方だったのですね! 僕も半年でもいいから住んでみたいです。うらやましい。
近代化といえばプラハのダンシング・ビルなどは賛否両論あるらしいですね。プラハを訪れた時には街中でセグウェイに乗ってる人たちを見かけてびっくりしました。便利なものが入り込んで暮らしが豊かになる反面、心の中で大切にするものも変わってくるのかもしれません。古きよき時代の美徳を失ってしまった僕ら日本人が言うのも何ですが、代々から受け継がれてきた美しいものを守り続けて欲しいですね。

Posted by: うっちー : 2007年1月30日 18:57
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