しばらく日本を離れて遠くマダガスカルでバオバブの種まきを手伝っています。ジュペリ先生も大喜びです。
滞在場所はアンタナナリボで知り合った土産屋のじいさんの家です。マダガスカル語もフランス語もおぼつかない僕ですが、マラガシー(マダガスカルの人々)はみな親切にしてくれます。
金曜日にはズマと呼ばれる青空市場が大通りで開かれます。適当に買い物しながら歩いていると、ある露店のおじさんがアンモナイトの化石を売っていて「これは幸せを呼ぶアンモナイトだ」ともっともらしく言うので小さくてかわいいのをひとつ買いました。
ズマを抜けて通りを歩いているとなにやら後からヒタヒタとついてくる気配がします。
マラガシーの子供達かな?と思って振り返るとそこにいたのはパムルでした。パムルというのは、じいさんちで飼っているレムール(原猿の仲間)の一種です。なんでもブラウンレムールという種類だそうです。モノ欲しそうな顔をしているのでズマで買ったオレンジを半分わけてあげました。ほんとは4個買ったのでもっとあげてもいいのだけどあんまりたくさんあげるとじいさんに叱られるからね。
(別にケチなわけじゃないのです。念のため。)
そしてパムルと一緒にじいさんの家までダッシュゴー!
パムルはとてもかけっこがはやいです。健脚には自信のある僕もさすがにパムルにはかないません。
僕が途中で立ち止まってぜえぜえ言ってるのをパムルは振り返ってつぶらな丸い瞳で見ていました。ちぇっ、こにくらしいやつ。
そしてカン高い声で1回鳴くと道わきにあった大きなバオバブの木にのぼってしまいました。あ、バオバブにのぼりやがった。いいなあ・・ バオバブの木は大きくて太い幹のてっぺんのほうにだけ枝があるためによほどの木登りの達人でもないとつかまる場所がなくてのぼれないのです。僕は一度でいいからあの枝のところまで登ってみたい。
「おい。はやく帰らないとじいさんに叱られるぞ。」と枝の上にいるパムルに話しかけたのですが知らん顔しています。「やっぱ日本語じゃ通じないか・・」こんなことならマダガスカル語といわずともフランス語ぐらいもう少し勉強しておくんだったとちょっと情けなくなって後悔しつつ、久しぶりにおもいきり走って疲れたので木の下にすわりこみました。そしていつのまにかうとうとと寝てしまいました。
涼しい風にふと目を覚ますとあたりはすでに夕闇につつまれています。
「あ、やば。もうこんな時間だ。・・パムルは?」と木の上を見上げると、いましたいました、枝の上で目が光っています。あれ?でも光ってる目が4つあるぞ?
よく目をこらして見るとパムルのとなりにもう一匹、メスのブラウンレムールがいました。どうやら野生のレムールのようです。
なんだ、どうやらパムルのデートにつきあわさせられたみたいだぞ。俺の前でいちゃつきやがってけしからんやつだ・・。とぶつぶついいながらも残っていたオレンジを右手に高く差し上げてパムルの名前を呼びました。
パムルはすぐに気づいて枝から降りてきました。メスのレムールもパムルの後からおそるおそる降りてきました。野生天国のように言われるここマダガスカルですがブラウンレムールはもともと警戒心の強い動物なのです。
2匹とも下に降りてきたので僕はオレンジを半分に割って半分づつ2匹のレムールにあげました。僕ものどが乾いていたので1つ食べました。残りの1個はじいさんへのおみやげにしよう。
「さあパムル。じいさんが心配してるからそろそろ家に帰ろう。」
やっぱり日本語でしたが今度はどうやらパムルも理解したようです。キィーと高い鳴き声を上げるとメスのレムールとお別れして僕のあとについてきました。
空はすっかり暗くなって満天の星空です。ほんとに恐いくらい透き通ってきれいな星ぼしです。僕は歩きながら空を見上げて後ろに倒れそうになりながらパムルと帰りました。
・・とまあ毎日こんなような生活をしています。もうしばらくこちらにいることになると思いますが元気でやってるので心配しないでください。クリスマスまでにはそちらに戻ろうと考えています。
明日はジュペリ先生と一緒にバオバブの植生調査にベレンティー自然保護区に出かける予定です。前にも一度連れて行ってもらったことがあるのですが、まためずらしい動植物に会えるのかと思うと胸がわくわくしてきます。その模様はまた次回報告しますね。
最後に、この手紙と一緒に今日買ったアンモナイトを送ります。
いいことがたくさんありますように・・
2005年6月27日 マダガスカル/アンタナナリボ にて
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あとがき
しばらくご無沙汰していました。忙しくてなかなか更新できなかったのですが本当にマダガスカルに行ってるわけではありません(笑)
この物語は、今から8年前に某掲示板に投稿したものを少しだけ校正し直したものです。
(※原文では最後の一文が「1997年10月31日 マダガスカル/アンタナナリボ にて」となっています)
たまたま保存していたテキストファイルが出てきてとても懐かしかったのでブログの1エントリーとして復活させてみました。
僕自身マダガスカルには一度も行ったことは無いのですが、一時マダガスカルという島国にハマって関連書籍を読み漁っていた時期があります。
きっかけはバオバブの木。そうサン・テグジュペリの「星の王子さま」に出てくる巨木です。「星の王子さま」の物語では星を飲み込んでしまう恐ろしい木のように描かれていますが、実物の写真を見ると大地からまっすぐに太い幹を伸ばす姿、そのまるで地球とは違う惑星に降り立ったような圧倒的な存在感に心を奪われてしまったのです。
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そうしてマダガスカルの事を調べてみるとバオバブ以外にもめずらしい動植物がたくさん生態系を作っていることが分かり、ますます興味が湧きました。
今でも行ってみたい国のひとつです。
この物語も当初は続編を作ろうと思っていたのですが、そのまま長い年月が流れてしまいました。
これを機会に続きの話も作ってみようかなあとも思ってます。
いただいてるコメントの返信もできてなくてすみません。
ぼちぼちまた復活します。:-)
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おはようございます。
生きてましたね。(こういうと年老いた母は怒りますが)
びっくりしました。遠いところにいるなんてと(笑)
で、マダガスカルってどこ?
Posted by: momo : 2005年6月27日 08:10久しぶりに更新してるーと思ってチェックしたら。。。
書き出しにうっかりだまされちゃいました★
ぜひとも続きをお願いしますっ
>momoさん
はい、生きてました(笑)
マダガスカルはアフリカ大陸の南東に浮かぶ島国です。
国土は日本の1.6倍、世界で4番目に大きな島です〜
生きたい・・もとい、行きたい。。
>あけちゃん
更新早々チェックしてくれてありがとー
おまけにだまされてくれてありがとう。素直な心の持ち主だ(笑)
続編の構想は当初から頭の中にあるのだけど、月日が流れてだいぶあやふやになってきたな(^^;
でもせっかくだからゆっくりと作ってみます。:-)
アンタナナリボに行ったことがあります。通称タナと呼ばれています。
でも、貧困国の首都ですから、治安は悪いです。麻薬中毒とかよっぱらいが夜になると路上にうろうろしています。物語ほどのドラマは無いかも。
ホテルのロビーで日本人観光客に声をかけられました。ミネラルウォーターが余っていたら分けてくれないかと。ハガキに切手を貼るので水分が欲しい、って。トイレの蛇口の水でも、自分の舌でも使えばいいのに。そんなマダガスカルを旅するには、なにも分かってないような人も動物を見に来たりしています。
そういえばマダガスカルというアニメ映画も公開を控えているみたいですね。こっちはファニーな楽しそうなアニメ。
Posted by: みさわ : 2005年6月29日 08:28みさわさん、コメントありがとうございます。
マダガスカルに行かれた事あるのですね!(^^
治安や衛生環境については多くのアフリカ諸国とそれほど変わらないかもしれませんね。
特にマダガスカルではマラリアに気をつけたほうがいいという話はよく聞きます。
ドリームワークスのアニメ、マダガスカルはポスターなどで気になってはいるのですが、
なんでライオンやキリンがマダガスカルに?と不思議に思いました。
アフリカ大陸から流されてやってくるようなストーリーなんでしょうかね。
あ、一応「マダガスカルからの手紙」もファンタジーってことで(笑)
Posted by: うっちー : 2005年7月 1日 01:37